JOURNAL / INFO

ちょっとした掲示物や広告を作りたい時の話・その1

コラム

お知らせしたいことがあるから印刷物を作りたいけどぶっちゃけデザイナーに頼むほどのことでもない…
みたいなことってありますよね。
職場内の掲示物とかレジュメ的なやつとか、趣味のサークルのちょっとした告知とか配布物とか。
そりゃあデザイナーとしてはお仕事としてそういうものもご依頼をいただけたら嬉しいですけれども
じゃあ逆に自分が発注する側だったら……正直それだけのためには依頼しないですよね!
費用の問題もあるし、代金をいただくからにはクオリティを上げるために制作にやや時間がかかったりもするし。

今日はそんな「自分で作っちゃうほうが手っ取り早い物の簡易的なデザイン方法」のお話をしようと思います。

そもそもデザインって何なのよ

デザインというと
見た目を美しく整えたり他社とは違う独創的なものを作ったり
という作業を思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれませんが、実際のところはもっと設計的な部分を言ったりします。
もちろん「見た目を美しく整えたり他社とは違う独創的なものを作ったり」もデザインの仕事のひとつではあるのですが
それだけではなくデザインというのは問題や課題解決、目的達成のための手段です。

例えば
情報をわかりやすく伝えたい!(例・お店の営業時間やメニューを見やすく伝えたい)
とか
ある特定の行動を促したい!(例・お問い合わせの件数を増やしたい)
とか
クライアント様によって色々な解決したい問題や達成したい目的があるわけですが
ではそのために、どのようなターゲット層に対してどういう動線を作っていけばいいか?
そしてこの動線をどのように整えていくか?

ということを考えていくのがデザインだと私は考えています。
デザインとは単に見た目を美しくするだけのものではないのです。
どんなに見た目が美しくできていたとしても、ターゲット層の設定や動線の設計が疎かになっているとお知らせとしての効果はあまり期待できないでしょう。
(ちなみに、デザイン制作の際にクライアント様側からサイトやチラシなどを作る上で解決したい問題や具体的な制作の目的をお聞きすることも、成果を上げるためにとてもとても重要です。)

ということで早速何か例を挙げて簡単なチラシを作ってみましょう。
社内でカレー部を立ち上げるにあったって部員募集をする、という掲示物を作ることにしましょうか。

「誰に向けた何の情報か」を考える

カレー部についての前提情報

お知らせのデザインを作るにあたり活動場所、活動時間、連絡先を簡単に決めておきましょう。

活動場所
・市民センターの調理室

活動頻度
・毎月第2金曜日(月末と月初は忙しくこの辺りが妥当という人が多いため)

発起人(連絡先)
・鈴木さん
・佐藤さん
※年齢等は少し離れていますが2人ともカレー好きで、カレーがきっかけで親しくなったという設定です。社内の連絡ツールとして使用しているチャットツールでのやり取りを想定しています。

カレー部立ち上げの目的
・カレー好きの仲間を増やしたい
・カレーを通して社員同士の気楽な交流を図りたい
・美味しいカレーが食べたい

ここまでは大体決まっていることが多いんじゃないかなと思います。

「部員になってほしい人」を考えよう

それではこの情報を元にしてまずこのチラシを見てほしい人、この情報を届けたい人が誰なのかを考えてみましょう。
「誰に見てほしいか?みんなに決まってるじゃん!」そう思われるかもしれません。
しかし全方位をターゲットにすると伝えたい意図や情報がぼやけてしまい、結局誰の心にも届かない望む結果につながらない
ということが多々あります。
ですので、ターゲットを絞る方が広告としては有効です。
それでも多くの幅広い層の人々に届けたいのであれば、例えばの話ですが、若年男性をターゲットにした広告と高齢女性をターゲットにした広告の両方を作って発信していく、というような形をとる方が効果的です。

では、この部員募集チラシのターゲットを考えてみます。
発起人の鈴木さんと佐藤さんは少し歳が離れていたり佐藤さんの方が役職が上だったりしてあまり接点がありませんでしたが、カレーが好きというきっかけで打ち解けて親しくなりました。
親しくなるにつれ仕事もやりやすくなったと感じ、これを社内に広げてみんなで協力してカレーを作って食べたりカレーの情報交換をしたりいけばさらに仕事に良い影響が出るかもしれない…という建前と、単純にカレー仲間を増やしたいという本音が鈴木さんと佐藤さんの心に存在します。

となると狙うべき人は

ターゲット
・カレー好きの社員
・美味しいものを食べるのが好きな社員
・料理が好きな社員

あたりです。
ちなみに一般的な広告ではターゲットの年齢層や男女比も考えたりしますが、今回は社員全体の交流を促すという目的がありますのでそこは考えなくてもよいでしょう。

「これを見たターゲットに何をしてほしいか」を考えよう

ターゲットが決まったら、この
・カレー好きの社員
・美味しいものを食べるのが好きな社員
・料理が好きな社員
という人たちが部員募集の掲示物を見たときにどういう行動をとってほしいかを考えます。

今回チラシを作成する目的は部員募集のためですよね。
となると、掲載内容に興味を持ってもらった上で代表者に連絡を取ってくれることがターゲットにしてほしいことになります。

情報の優先順位を考えよう

続いて必要な情報の優先順位を考えていきましょう。
デザインの制作においては、伝えたい情報に優先順位をつけて、優先順位の高いものを目立たせることがとても大切です。
一旦5W1Hを用いつつ必要な情報を整理してみましょう。

Who(誰に)
・カレー好きの社員
・美味しいものを食べるのが好きな社員
・料理が好きな社員

What(何を)
・カレー部を立ち上げて部員募集中であること
・カレー部の活動内容

When(いつ)
・毎月第2金曜日の終業後

Where(どこで)
・市民センターの調理室

Why(なぜ)
・カレー好きの仲間を増やしたい
・カレーを通して社員同士の気楽な交流を図りたい
・美味しいカレーが食べたい

How(どうやって)
・発起人の鈴木さんか佐藤さんにチャットツールで連絡

この情報に、ターゲットが読みやすいよう優先順位をつけていきます。
「全部最優先なんだけど…」という方もいらっしゃるかと思います。
試しに特に優先順位を考えずに情報を並べたものと、考えて情報を並べたものの比較画像を作ってみました。

情報の優先順位の比較画像

左側は情報を並べただけですが、右側の画像は優先順位を決めて、順位の高い情報の文字サイズを変えてみたり太字にしたり周辺に余白を入れてみたりしたものです。
内容は全く同じですが、右の「優先順位を考えているもの」の方が読みやすいのではないでしょうか。

とはいえ慣れていないとこの辺りを考えるのもちょっと難しいですよね。
もしも迷ったら

  1. 1. What(何を)
  2. 2. Who(誰に)
  3. 3. Why(なぜ)
  4. 4. When(いつ)
  5. 5. Where(どこで)
  6. 6. How(どうやって)

を基準に考えてみるのが良いかもしれません。

次回はこの情報をもとに実際に掲示物を作成する手順をお伝えします。
お楽しみに!




千葉県と埼玉県北部を拠点に活動しているクリエイター夫婦ユニット・glueing design(グルーイングデザイン)では
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